カテゴリー  野生動物の調査対策

ゴミの投棄は餌付けと同じです

知床も観光シーズンになり人が増えました。そして残念ながらゴミの投棄も増えました。

本日は知床横断道でオニギリやサラダなど食品の入ったゴミが投棄されていました。オニギリの賞味期限が6月28日だったから、ごく最近捨てられたものでしょう。

知床横断道は知床世界自然遺産エリア内にあり、ヒグマやキツネなど多くの野生動物が生息しています。

そしてヒグマやキツネは鼻がいいため、人の捨てた生ゴミをすぐに見つけて食べてしまいます。

人間の食べ物はスパイシーで栄養満点であり、野生動物にとって非常に魅惑的です。

一度食べればその虜になって、何度も道路に出て来るようになるかもしれません。

しかし野生動物が道路に出れば車に轢かれたり、ぶつかったりして死亡する危険性が高くなります。

最近、知床横断道ではヒグマの出没情報が多くなっています。もしヒグマが生ゴミに餌付いて道路に居ついてしまったら、自転車や徒歩で横断道を移動する人に危険がおよぶかもしれません。

だからゴミの投棄はやめてください。人間のゴミで他の生き物が犠牲になっていいはずがありません。

(担当:能勢)

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子ジカにご注意ください

本日、知床横断道で交通事故で死んだ子ジカを回収しました。

6月はちょうどエゾシカの出産期で、あちこちで産まれたばかりの子ジカが確認されています。

子ジカは母親について行くのに一生懸命で、道路や車の危険性など理解できません。そのため交通事故に遭うことが多いのです。

シカを轢かないようにする方法は、まずゆっくり走ることです。

そして辺りに注意すること。シカは群で行動するので1頭見えたら他にもいると思ったほうが良いでしょう。

1頭が道路を横断したら、後続で他のシカや子ジカが飛び出してくるかもしれません。

大人のシカにぶつかれば車が大破する恐れがあり、バイクや自転車でぶつかったら放り出されて怪我をしてしまいます。

野生動物に注意して運転することは、動物だけでなく自分や他の人の安全を守ることにもつながります。

※万が一、シカを轢いた場合は知床自然センターに連絡をお願いします。怪我をしたシカや死体を放置しておくとヒグマが食べにくる可能性があります。

(担当:能勢)

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エゾシカのライトセンサスを実施しています

毎年、4月と10月にエゾシカのライトセンサス調査を実施しています。今年も4月26日からスタートしました。

ライトセンサス調査とは、車からスポットライトで林内を照らし、エゾシカを探して数える調査です。光で照らすと動物の目は光るので夜間に行います。

 

 

 

この調査、実は1988年頃からずっと継続的に実施しており、今年で30年になりました。継続的に調査することによって、エゾシカが増えているのか、減っているのか傾向を知ることができます。

エゾシカの多さは1kmあたり何頭発見したか、という数値で表すことができます。

例えば、1989年の幌別コース(知床国立公園内)における平均発見数は1kmあたり0.8頭でしたが、その後急増し2005年が最も多い19.2頭となりました。その後、知床国立公園内ではエゾシカの密度調整が実施されているので、現在は徐々に減少しています。昨年の2017年は6.7頭という結果だったので、密度調整の成果があがっているものの、まだ30年前のエゾシカの少なかった状態には至っていないと考えられます。

この調査、エゾシカ以外にも色々な動物を見ることができます。

キタキツネやエゾタヌキはわりとよく見られますが、稀にエゾフクロウ、エゾモモンガなど夜行性の鳥獣も確認されます。

今回はヤマシギを複数羽確認しました。今の時期、オオジシギの声も聞こえます。こういうエゾシカ以外の動物についても、きちんと記録に残しておきます。

自然は常に一定ではなく、緩やかにですが変化し続けています。その目に見えにくい変化を把握するためにも、このような継続的な調査が大切なのです。

(担当:能勢)

 

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クマ撃退スプレーの使用訓練を行いました

4月になってから知床国立公園の中ではヒグマの目撃情報や足跡の痕跡情報などが寄せられるようになりました。レジャーや仕事で野外へ行く方は、ヒグマ対策を忘れないようにお願いします。

私達も仕事でヒグマの生息地に入ることが多いわけですが、ヒグマと事故を起こすことがあってはいけません。そのため万が一のために常にクマ撃退スプレーを携帯しています。

しかしこのスプレーは持っているだけでは不十分で、いざという時にすぐに使えるよう訓練をしておく必要があります。またスプレーには使用期限があるので、定期的に日付をチェックしておく必要がありますね。

そのため職員を対象に4月上旬に練習用スプレーを使用した訓練を実施しました。※本物は劇物なので練習では使用しません。

実際のヒグマ相手に練習はできないので、写真を張った板が相手します

ヒグマがずんずん近づいてきます。 足が長すぎですね。

これで距離5mです。これ以上だとスプレーが拡散してヒグマに届きにくくなります。

 

 

 

 

 

 

まずヒグマ撃退スプレーには有効距離があるので、ヒグマとの距離感を掴む練習を行いました。ヒグマの巨大写真を張り付けた板を50m離れた場所から段階的に近づけていきます。だいたい2~3歳のヒグマがこの大きさです。野外では物の大きさや距離感が分かりにくくなるので、実際に距離を測りながら確かめていきました。

スプレーの有効距離は約5mと説明されているので、ヒグマが接近してきた場合はかなり引き付けなければいけません。実際、5mまで接近したヒグマ(写真ですが)はかなり大きく感じ、もし実物であればこの恐怖心は相当なものであろうと感じました。

このような練習は大事ですが、クマ撃退スプレーはあくまで最後の切り札です。実際はヒグマに会わないようにすることが重要だということを忘れてはいけません。

(担当:能勢)

 

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エゾシカ航空カウント調査に参加しました

 3月6日から3月11日までの期間、ヘリコプターで上空からエゾシカの頭数を調べる「エゾシカ航空カウント調査」を実施しました。この業務は環境省から業務として知床財団が請け負っているものです。ウトロや羅臼にお住まいの方は、空からのエンジン音に驚かれたかもしれません。お騒がせしました。

 知床は2005年に世界自然遺産に登録されましたが、その後エゾシカの高密度状態が植生や他の生物に影響を与えている可能性を指摘され、エゾシカの管理を適切に行うようIUCN(国際自然保護連合)から勧告を受けています。
もっと詳しく知りたい方は「第3期知床半島エゾシカ管理計画」をご覧ください。http://hokkaido.env.go.jp/kushiro/170403p1.pdf

(環境省釧路自然環境事務所のホームページにジャンプします)
 エゾシカの管理を行うには、まず知床半島のどの辺りにエゾシカが何頭いるのか把握した上で、個体数調整(捕獲)する計画を進めなければなりません。この航空カウント調査はそういう意味でも重要な調査なのです。

 実はこの調査、昔から継続的に行われています。最初は2003年に行われ、その後は2011年に半島基部の範囲を含めた広域調査が行われました。2013年以降は毎年実施されています。このように継続的に調査を行うことによって、過去と比べてどの程度シカが増減しているか分かるという仕組みです。
 

 

 昨年の2017年は自然遺産エリアに747頭のエゾシカが確認され、今回は659頭でした。エゾシカが森の中に隠れていると見つけられないので、この数は実際の生息数より少なくなるはずです。多少の誤差はあると思いますが、エゾシカは着実に減少方向に向かっていると考えられます。2011年の調査では同じエリアで2,652頭確認されているので、この7年間でエゾシカは大幅に減少したと言えるでしょう。それは自然遺産エリアを含む知床半島で継続的にエゾシカの個体数調整(捕獲)が行われているからです。

 3月8日に私もヘリコプターに乗り込みました。空から見た知床半島は美しく雄大で、北から押し寄せる流氷が印象的でした。地上にいる時よりも、知床半島は細く長く、そして急峻だと感じました。北から押しよせる流氷の強大な流れを半島が受け止めてくれるから、オホーツク海は豊かな海でいられるのかもしれません。その代償として半島の海岸線は荒々しく削られ、場所によっては高さ100m以上の絶壁になっています。
 美しい景色に酔っている暇もなく、機体は風に揺られ、エゾシカをさがしながらぐるぐると旋回するものだから、今度はひどい乗り物酔いになってきます。上空から探すエゾシカはアリのように小さくて凝視しなければ見つけることができず、襲い来る吐き気に耐えながら地上にいるエゾシカを探し続けるのでした。

 知床半島の冬は長く、4~5ヶ月間は雪に閉ざされます。エゾシカは冬枯れの山の中を、秋までに蓄えた栄養を消費しながらササの葉や木の芽、樹皮などを食べて命を繋ぎます。メスは冬期に妊娠しているので、お腹の子どもの分まで食べて生きなければなりません。寒さと飢えに耐え忍んで生き抜くこと、それが彼らの能力なのだと思います。
 知床世界自然遺産はエゾシカの存在を悪としているのではありません。増えすぎて他の生物に影響を及ぼすことが問題視されているのであり、エゾシカも知床の自然の一部であるということを忘れてはならないでしょう。

(担当:能勢)

↓ Youtubeで上空からの知床半島の景色を見ることができます。画面酔いにご注意ください。

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