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【反対声明】銃刀法改正案(ハーフライフル銃の規制強化)について

銃刀法改正案(ハーフライフル銃の規制強化)に対する反対声明

 

   2024年1月18日

公益財団法人 知床財団

理事長 村田 良介

 

 過日2023年12月21日に、銃規制強化のための銃刀法改正案が2024年の通常国会に提出されると報道されました。また、この改正法案ではハーフライフル銃の所持許可に係る要件をライフル銃と同程度の要件(10年間連続して散弾銃を所持)に引き上げる規制強化が含まれていると聞き及んでおり、知床半島における野生動物の管理対策及び世界自然遺産の保全に甚大な影響を与える可能性があることから強く反対します。

 

(1)知床半島の野生動物対策への影響

 知床半島におけるヒグマの管理対策においては、自治体・地元猟友会・知床財団によるヒグマの有害駆除が行われています。ヒグマによる反撃や半矢の危険性が伴う駆除現場においては、捕獲従事者や地域住民、観光客の安全確保を確実に行うため、命中精度の高いライフル銃やハーフライフル銃の使用が必須となります。本件の銃規制の強化でハーフライフル銃所持許可の要件が厳しくなることは、ヒグマの保護管理を担う実働要員の担い手不足をさらに加速させ、現場で確実かつ安全に駆除を行う体制構築に多大な影響を及ぼすものであります。

 また、エゾシカの管理対策においても同様に、有効射程距離が短く命中精度の低い散弾銃を用いた捕獲を行うことは捕獲成果を著しく低下させます。そのような不十分な管理対策では、世界自然遺産地域の植生と生態系の保全、ひいては農業被害の抑制に大きな支障が生じると考えます。

 

(2)捕獲の担い手不足の深刻化

 知床半島においても道内の他地域と同様に、ライフル銃を用いてヒグマやエゾシカの捕獲を第一線で行うベテランハンターの高齢化が進んでおり、次世代を担う若手ハンターの確保と育成が急務となっています。しかし、新たに猟銃を所持してハンターになろうと希望する人が散弾銃しか所持できない状況になれば、獲物への発砲機会がなかなか得られないこと、捕獲成果に結びつかないことによる活動意欲の低下を引き起こします。その結果、次世代のハンター確保と育成に大きな歯止めをかけ、担い手不足をさらに深刻化させる恐れがあります。

 

(3)我が国におけるクマ類の管理への影響

 昨年、全国各地で発生したクマ類の出没とこれに伴う人身事故の発生状況は過去最悪であり、喫緊の課題となっています。ハーフライフル銃の規制強化を含む法改正は、こうした課題解決に向けて現在環境省が検討を進めている住宅地周辺への出没と人身事故の発生抑止へ向けたクマ類の管理施策(指定管理鳥獣への指定)に逆行するだけでなく、従来以上に被害を拡大・深刻化させる恐れがあると言わざるを得ません。

 

 以上のことから、当財団はハーフライフル銃の所持許可要件の規制強化に強く反対します。

 


※上記内容のPDFはこちら:ハーフライフル銃所持許可規制に対する反対声明 _知床財団


 

 本件ハーフライフル銃規制強化については、他団体においても反対声明が表明されています。

〇北海道猟友会:20240110ha-furaifuruseimeibun.pdf (hokkaido-hunter.org)

〇北海道銃砲火薬商組合:R0601北海道銃砲火薬商組合 ハーフライフル銃10年規制反対意見

〇エゾシカ協会:https://www.yezodeer.org/library/statements/20240118/statement_20240118.html

 

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