活動報告BLOG

守ってほしいルール

冬の訪れ

ヒグマの活動が落ち着き、冬が近づいてきたので国立公園内の道路脇に設置されていたヒグマ生息地看板が撤去されました。この看板は、毎年春~初冬の期間に環境省が設置しているものです。

 

ヒグマ看板

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒグマ生息地看板ってなに?

ヒグマ生息地看板には、知床を訪れる方に守っていただきたいヒグマとのルールが記載されています。

ヒグマに接近しない」「餌を与えない」というルールを皆さんに知ってもらい、守っていただくために設置されているものです。

 

守ってほしいルール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この2つのルール。

決して難しいことが書かれているわけではありませんが、なかなか守られていません。

 

「ヒグマに近づかない」

ヒグマへの過度な接近をせず、距離を保ってください。

ヒグマはとても魅力的な野生動物のひとつですが、時と場合によっては私たちに牙をむきます。

基本的にはブラフチャージ(威嚇突進)で済む場合が多いですが、そうでない状況もありえます。

親子グマの場合、母グマが子グマを守ろうと、通常より攻撃的な行動をとることがあります。

皆さまにはヒグマを見ても我を忘れずに、適切な行動をするようお願いします。

 

「ヒグマなどの野生動物へ食べ物を与えない」

直接的にヒグマへ餌を与える行為だけではなく、生ゴミを投棄する行為もヒグマに食べ物を与えることと同じ行為です。

2019年9月23日岩尾別地区で発見した不法投棄ゴミ

ゴミの中身は食品関係

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の食べ物の味を覚えたヒグマは人がいる場所にいけば野生下で食べている物よりも栄養価が高く、高カロリーな食べ物を容易に手に入れることができると学習してしまいます。

 

 

人の食べ物の味を覚えてしまったヒグマは、最終的にその命を奪われてしまいます。

 

エサやりがクマを殺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しい物語をこれ以上増やさないで下さい。

ヒグマだけでなく、キツネなど他の野生動物に対しても絶対に餌を与えないでください。

道路上で餌をもらえることを覚えたキツネは、これまでの行動を変化させ、四六時中道路上に滞在するようになり、最終的に車に轢かれて死んでしまうリスクが上がります。

 

来年は人にとっても野生動物にとっても良い年になることを願っています。

(担当:村上)

 

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羅臼ブログ第2回 ウトロと羅臼の違い

 この春から斜里町ウトロから隣町の羅臼町に異動した「羅臼新人」土屋のつぶやきに、引き続きお付き合い下さい。さて、すぐ隣りとはいえ新しい地域に住むと、違いにずいぶんと気付かされます。今回はウトロと羅臼の「天気」と「フキ」の違いについて紹介させて頂きます。

ウトロと羅臼の降水量と日照時間(2019年4~9月

 羅臼は、天気予報が曇りだったら、雨が降るかもしれないと疑心暗鬼になるほど雨の多い町でした。まず、降水量と日照時間(2019年4月~9月)を気象庁のHPで調べてウトロと羅臼で比較してみました。羅臼は、ウトロより日照時間では約300時間少なく、降水量では約400㎜多いことが分かりました。原因は、春頃から発生する日本海低気圧の影響や知床連山が湿った南風を受け止めることによって降水量が増え、さらに根室海峡で発生する海霧の影響で曇りや雨の日が多くなるということでした。この現象は植物などの生育に大きく影響してくるのはいうまでもありません。羅臼ではウトロでほとんど見ることがなかったサルオガセというコケ(地衣類)をしばしば見かけます。サルオガセとは、ボロ布のように木に垂れ下がり、空気中の水分と光だけで成長する仙人のようなコケです。湿度が高い羅臼側の天候を象徴するコケといえるでしょう。

フキに関しては、北海道のフキの正式和名は「アキタブキ」といい、まるで雨傘並みの大きな葉をしげらせ、ヒグマの大好物ですが、ウトロ側では1980年代からのエゾシカの過増加が原因で激減した歴史があります。一つ一つのフキ群落も小さくてサイズは矮小化してしまっています。一方、羅臼のフキは人の背丈をこえるような大きさで、見るからに美味しそうなみずみずしいフキが至る所に生えています。ヒグマたちは初夏からフキをむさぼり食います。羅臼では道脇や住宅周辺までフキだらけで、毎年のようにヒグマが侵入してきています。

 つまり、フキが町中に繁茂しているということは、ヒグマを恒常的に誘引しているというたいへん危険な状態ということです。今年大きな話題になった飼い犬がヒグマに襲われた事件も、家の周辺にフキやオオイタドリなどが密生した場所で起きていました。フキが密生したヤブはヒグマに食べ物と隠れ場所を提供しているのです。フキは人間にとっても季節を感じられる食物ですが、家の周りでヒグマと鉢合わせるくらいなら刈り取ってしまうべきです。そうした危険な場所を減らすべく、今年から知床財団では地域住民と協力して草刈り活動を始めました。来年からはもっともっと大きく展開していく予定です。目標は、住宅地周辺のヤブをなくし、安全できれいな街並みにしていくことです。みなさん、来年は一緒に草刈りしませんか?

フキを食べているヒグマ

ヒグマがフキを食べた痕跡

 

 

 

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知床自然教室40周年企画「知床への回帰」開催報告

実施日:2019年10月18日(金)~21日(月)

毎年夏に開催している知床自然教室は、今年で40年目を迎えました。1980年の第1回以来、のべ1900人以上の子どもたちが夏の知床の1週間を過ごしています。

今回は、この節目を記念して、自然教室卒業生を対象とした3泊4日のイベントを行いました。初期の頃の参加者はすでに40~50代、今では自分の子どもを参加させる世代になっています。そんな卒業生を中心に斜里町役場や知床財団など歴代の地元スタッフを含め総勢50名以上が知床に集いました。

自然教室の舞台「ポンホロ」でのツリーデッキ作り、同時に開催中の知床自然センターのフィルムフェスや植樹祭、夜は自然教室本番と同じ漁村センターに泊まるなど盛りだくさんな4日間を過ごしました。

参加者の中には今も毎年知床に来ている人から、今回が20年ぶり30年ぶりという方までおり、その後の知床との関わりはそれぞれですが、共通するのは自然教室という”同じ”時間を過ごしたことがあることです。

 

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エゾシカの生体捕獲・標識放逐を実施しています

最近、耳にタグ(標識)をつけたエゾシカを国立公園内で見かけることがあるかと思います。

この標識ジカは、北海道立総合研究機構が今年から3年間かけて実施する調査・研究の取組みのひとつで、ルシャ地区と他のエリアで複数のエゾシカに発信機を装着し、行動追跡や生存率、妊娠率などを調べ、エゾシカの個体群がどのように変化しているか分析するために実施しています。

知床半島のルシャ地区は現在、エゾシカが最も多く生息している場所であり、昨冬のヘリコプターからのカウント調査では181頭が確認されました。ルシャ地区はヒグマも数多く生息する場所であり、ヒグマはシカの新生子や衰弱した個体を捕食していると考えられます。また高密度状態のシカは植生に影響を与え、ヒグマの利用できる植物を減少させるなど互いに影響を与えていると考えられます。しかしどの程度、ヒグマがエゾシカの個体群に影響を与えているか詳しく分かっていません。

 遺産地域の一部(幌別-岩尾別、知床岬、ルサ-相泊)では継続的にエゾシカの密度調整(捕獲)が進められていますが、現在ルシャ地区は人の手を加えていません。

 対照区として残され高密度が維持されているルシャ地区とこれまで人為的介入をしてきた幌別・岩尾別地域のそれぞれでシカの生体捕獲を実施し、捕獲個体には耳タグ及び発信機を装着します。そして、その個体の生存確認や子連れ状況を記録することで、各エリアのエゾシカの個体群特性を比較し、個体群の増加率に及ぼす特性の影響を明らかにします。

また、これらのデータは今後、知床半島エゾシカ管理計画の改訂やユネスコ/IUCNから求められている最小限の人為的介入によるエゾシカ過増加対策の検討に活用されます。

知床財団は現地でシカの生体捕獲・標識放逐に協力し、6、7月にルシャ地区、9月に幌別地区で麻酔銃による捕獲を実施しました。幌別・岩尾別地区では今後も生体捕獲を目標頭数(2019年は10頭)まで実施し、標識個体を増やしていく予定です。また、北海道立総合研究機構と協力して、現地で日常的に活動する私たちも、標識個体の目撃情報を蓄積していきます。知床自然センター周辺やその他の地域で標識個体を目撃することも増えていくと思いますが、調査にご理解をお願いします。

麻酔銃で捕獲し、標識を付けた後、覚醒させて放獣します。

ルシャ地区で捕獲した標識個体

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※本年度(2019年度)から3年間の予定で、「遺産価値向上に向けた知床半島における大型哺乳類の保全管理手法の開発」と題し、北海道立総合研究機構と北海道大学、知床財団が共同で調査・研究に取り組んでいます。実施にあたっては(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費【4-1905】を活用しています。

具体的には、①より正確なヒグマの生息数推定にむけた研究、②ヒグマ大量出没の要因解明に関する研究、➂ヒグマ捕食圧下におけるエゾシカの高密度維持機構に関する研究、の3つのテーマに取り組みます。

今後、活動ブログで順次、調査の様子などをお伝えしていきます。

(担当:清成)

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より正確なヒグマの生息数推定に向けた調査を行っています

「知床半島にヒグマは何頭生息しているでしょうか?」

知床にいらっしゃる観光客の方にもたくさんいただくこの質問ですが、実は現在、知床半島のヒグマ生息数は科学的に解明されておらず、過去と比較して増加しているのか、それとも減少しているのか正確に分かっていません。(現在の推定個体数は 559±440(知床半島ヒグマ管理計画,2017))

しかし、知床世界自然遺産地域では、この地域で暮らすヒグマ個体群を健全に維持するとともに人間社会との軋轢を軽減することが重要な課題となっています。ヒグマ個体群を健全に維持するためには、ヒグマの生息数に対し、捕獲数が一定以上を超えない事(捕りすぎない事)が求められ、精度の高い個体数を推定することで適正な捕獲数を求め、健全な個体群の維持と軋轢の軽減を目指すことができます。

北海道立総合研究機構と北海道大学、知床財団は本年度から3年間かけて調査を実施し、ヒグマの新鮮な糞、背こすり木などから回収した体毛、捕獲個体の肉片などからDNAを分析し、その個体を特定することで、より正確なヒグマの生息数を明らかにする個体数推定法を開発する研究に取り組んでいます。

私たち、知床財団は、主にその現地調査の大部分を担い、6月から11月までの予定で、知床半島の斜里町、羅臼町、標津町の広範囲でヒグマの糞を探すためのルートを設定し、ヒグマの体毛を採取するためのヘアトラップと自動撮影カメラを63箇所に設置し、調査を行っています。

ヘアトラップから毛を採集し、DNAで個体を特定します。

発見した糞から表面の組織を拭い(スワブ)DNAを分析します。

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  • ※本年度(2019年度)から3年間の予定で、「遺産価値向上に向けた知床半島における大型哺乳類の保全管理手法の開発」と題し、北海道立総合研究機構と北海道大学、知床財団が共同で調査・研究に取り組んでいます。実施にあたっては(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費【4-1905】を活用しています。

具体的には、①より正確なヒグマの生息数推定にむけた研究、②ヒグマ大量出没の要因解明に関する研究、➂ヒグマ捕食圧下におけるエゾシカの高密度維持機構に関する研究、の3つのテーマに取り組みます。

今後、活動ブログで順次、調査の様子などをお伝えしていきます。

(担当:清成)

 

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