2017年ヒグマ事情速報(12月28日集計速報)
今年もいよいよ残り僅かとなりました。例年このコーナーに記載していますが、月別の目撃数で見た今年の傾向をお知らせします。
今年は斜里町羅臼町ともに、夏までは例年通り、その後は例年よりも対応が多くなりました。初夏7月頃と秋10月頃に2つのピークがある2山型となりました。その理由については10月末速報時点で書きましたが、秋の餌事情(ドングリ・サケマス)が良くなかったことが影響しているのではないかと予想しています
(事務局長増田)
今年もいよいよ残り僅かとなりました。例年このコーナーに記載していますが、月別の目撃数で見た今年の傾向をお知らせします。
今年は斜里町羅臼町ともに、夏までは例年通り、その後は例年よりも対応が多くなりました。初夏7月頃と秋10月頃に2つのピークがある2山型となりました。その理由については10月末速報時点で書きましたが、秋の餌事情(ドングリ・サケマス)が良くなかったことが影響しているのではないかと予想しています
(事務局長増田)
2017年10月9日に、知床半島(斜里町・羅臼町)では1986年以来31年ぶりとなる、ヒグマによる人身事故が発生しました。
事故現場は斜里町の朱円東地区。半島つけ根寄りの広大な畑作地帯の端の方で、最近観光地として有名になってきた「天に続く道」のすぐ近くです。
当初の一部報道では、「ハンター(地元の猟友会員男性)が親子グマの子グマの方を先に撃ってしまった結果、怒った母グマに逆襲されて負傷した」というような内容が流されていました。
しかし、関係する行政・研究機関・猟友会斜里分会・知床財団などで、現場も含めて詳しく調査した結果、まったく異なる状況であったことが判明しました。
詳しくは、斜里町が事故直後に立ち上げた「ヒグマ人身事故対策本部」による下記の報告書をご覧ください。
(担当:石名坂)
斜里からウトロへ走っている途中、道路上に大型の鳥の死体を発見しました。
まさかオオワシ!?と思って確認してみると、オオセグロカモメの交通事故死体でした。
オオワシでなくてほっとしたのですが、ここでふと疑問がわき上がってきました。
オオセグロカモメは死んでもいいのか?天然記念物じゃないから?希少種じゃないから?
そうではないはずです。
確かにオオワシは希少な鳥です。
しかしこのオオセグロカモメの命も一つしかなかったものです。
私はいつの間にか命を天秤にかけているのだと気が付きました。
自動車というものは野生動物にとって非常に恐ろしいものです。知床は野生動物が多い反面、ロードキルで死亡する動物も多いのです。エゾシカ、キツネ、タヌキ、カラス類、カモメ類が多く、ごく稀にヒグマも交通事故に遭います。
もちろんわざと動物を轢く人などいないでしょう。しかし少しゆっくり注意深く運転していれば避けられた事故もあるのではないでしょうか。
(担当:能勢)
知床は雪が舞う季節になりました。
つい先日まで活発に活動していたヒグマたちも、そろそろ冬眠に入ったのかもしれません。
ヒグマの出没騒動もだいぶ落ち着いてきました。
毎年、雪が積もり始めると、電気柵の撤収作業が待っています。
電気柵が完全に雪に埋もれてしまうと、電気柵のラインが断線してしまうため、
区間によってはラインを落としたり、ポールや杭の回収を行います。
この電気柵は、ヒグマの市街地侵入を防止する目的で設置しており、
ウトロの町をぐるりと一周囲う形になっています(総延長は約7.5km)
(電気柵にヒグマが触れると電気ショックが起こる仕組みです。
接触すると強いショックを受けますが、流れる電気は基準に沿った安全なものです)
電気柵は、ヒグマの市街地侵入を100%防いでくれる訳ではありませんが、
ウトロの町を守ってくれる心強い道具です。
今年一年、お疲れ様でした。
ヒグマの目撃件数を月別でグラフにすると、初夏7月頃ピークを迎える1山型と、秋10月頃にもピークがある2山型の年があります。昨年は前者の1山パターンでしたが、今年については後者の2山パターンです。秋のピークについては秋の餌条件が関係していると考えられますが、その主なものがドングリ(ミズナラ堅果)とサケマスです。
知床森林生態系保全センターの調査では知床のドングリは今年凶作と判断されています。カラフトマス、サケについても全体の遡上量は少ない年でした。遡上量が少ないこともあり、遡上最盛期には遡上河川の河口部にヒグマが集中し河口部で目撃が増加しました。ドングリが実れば、山全体に分散するため、どちらかというと目撃数は少なくなりますが、今年はそうではなかったようです。今年の秋はヒグマにとってはつらい秋と言えます。
このような年は人為的な餌、人家周辺の生ゴミなどが狙われる場合があります。現にウトロや羅臼では住宅街で干し魚などがクマに奪われる事件が続発しています。日没も早くなるこの季節、引き続き十分な注意が必要です(事務局長増田)。