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オオセグロカモメの卵の計測

オオセグロカモメの営巣の時期になってきました。ウトロ地区ではオオセグロカモメの営巣場所が住宅地に近く、建物の屋上などに巣を作ってしまうケースもあります。

建物の上で雛が孵ってしまうと糞の汚れや悪臭が問題となるため、雛が孵る前に役場の方で巣材や卵の撤去などの対策を行っています。

昨年は回収された卵をサンプルとしていただき、外部計測や重量計測、比重の計算、標本の作成などを行いました。

建物の屋根で営巣するオオセグロカモメ

 

昨年は回収された卵のうち、104個について、電子秤による重量計測と、電子ノギスによる直径および長さの計測を行いました。また29個については体積(メスシリンダーと水を使用)を計測し比重を計算しました。

オオセグロカモメの巣と卵

結果

卵の重量は85~122グラムで、平均100グラムでした。

卵の直径は48~54mmで、平均51mm、長さは66~85mmで平均73mmでした。

市販のニワトリの卵が50~60グラム程度なので、オオセグロカモメの卵は2倍の重さとなります。その卵を一つの巣に2~3個産みます。

卵の比重は平均1.07となり、水(1.0)よりやや重い程度でした。

ちなみに中身を抜いた殻の重量は6~8グラムでした。

卵の重量を5グラム単位で分類し、グラフにしたのが下の図です。

100~105グラム級の卵が最も多く32個(31%)でした。平均より10グラム以上差のある卵は少なく、稀な存在でした。

こうしてみると野生の鳥の卵にも規格があるかのように思えてきます。

次に卵の直径と質量の関係を散布図にしてみました。

直径と重量は正の相関(直径が大きいほど重い)がありましたが、同じ直径でも10グラム以上のばらつきがあります。これは卵の形状が同一ではなく、個体によって直径と長さの比率が異なるためです。

オオセグロカモメの卵は片側が細い長球型ですが、細長いタイプとずんぐりタイプがあるようです。長さに対する直径の比率は60~76%で、平均70%でした。直径と長さの比率を2%ごとに分類し、グラフにしたのが下の図です。

70~72%の比率が最も多く35個(34%)となり、その比率から外れるほど少なくなりました。

卵の多くはいわゆる卵型の形状をしていますが、稀にやけに細長いタイプが存在します。

カモメの愛した数式

長球体であれば短半径と長半径から体積を計算することができます。

長球体の体積を求める式は

体積=4÷3×円周率×短半径×短半径×長半径

です。

オオセグロカモメの卵を長球体と見立て、体積を求めて比重1.07を掛け、実際の重量と比較すると、平均5.5グラム、最大10.4グラムほどの差が生じました。これは卵が完全な長球体ではないためです。

この差の平均値がゼロに近づくように係数を掛け、計算式を組み立てると、重量・直径・長さは以下の関係になりました。

推定重量=直径×直径×長さ÷1883.5

※重量の単位はグラム、直径と長さの単位はmmです。重量は48~54グラムの範囲内、直径は48~54mm、長さは80~112mmの範囲内の数値となります。

実際に式に当てはめると、実質重量と推定重量の誤差は-4.6~3.4グラムでした。

つまり直径と長さが分かれば±5グラム以内の誤差で重量を求めることができる、というわけです。よほど変わった形の卵でなければ±3グラム内の誤差で計算できることがわかりました(92%)。

よかったら試しに計算してみてください。日常生活でも何かの役に立つ、かもしれませんよ・・・。

オオセグロカモメの体重

傷病や交通事故で死亡したオオセグロカモメの体重を調べてみると、750~1500グラムで平均1100グラムでした(16個体)。

卵1個の重さは親鳥の体重1割程度ということになり、それを2~3個も産むとなれば体への負担もかなり大きいのでは、と想像します。

営巣地を求めて

本来、オオセグロカモメは岩壁の岩棚などに営巣しますが、近年、建物の屋根などに営巣する個体が増えたのはオジロワシやヒグマなど捕食者から雛を守るため、という可能性も考えられます。しかし人間の世界も決して安全ではなく、巣を撤去されてしまうというリスクがあります。

街中の草地で巣材を集めるオオセグロカモメ

自然環境の中で安全な営巣地が他にあれば、建物の屋根に営巣しなくてもよいのでしょうが、海鳥の世界も住宅事情が厳しいようです。

(担当:能勢)

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