ヒグマの年齢を調べています
![ミクロトームで歯をスライスする](https://www.shiretoko.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/10/0faf7bdf743d87b3766fc91c51d47e93.jpg)
ミクロトームで歯をスライスする
今年の8月からヒグマの年齢を調べる作業をすこしずつ進めています。
人間と異なり、野生動物に出生日を記した戸籍はありません。また、栄養状態などの影響を受けるため、体の大きさから正確な年齢を判別することもできません。年齢を調べる方法は動物の種類によって異なりますが、ヒグマの場合は歯の根元(“歯根部”と言います)のセメント質に形成されるいわゆる“年輪”を数えることが、有効な年齢査定方法とされています。
![薄くスライスされたヒグマの歯](https://www.shiretoko.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/10/d3380067d9ac2a45f457a48be24674f2.jpg)
薄くスライスされたヒグマの歯
年輪を数えるためにはいくつかの作業が必要です。最初に必要な作業は、薬品を使って歯を柔らかくする脱灰(“だっかい”と読みます)です。次にミクロトームという精密な機械を使い、厚さ0.04㎜(おおよそコピー用紙の半分の薄さです!)に歯をスライスします。最後に、顕微鏡で観察しやすいように、スライドガラスに貼り付けた歯を染色し、サンプルに色の濃淡をつけます。このように作ったサンプルを顕微鏡で観察して年輪を数えます。
![顕微鏡でのぞいた時の様子(4本のラインが読めたため4才と判定)](https://www.shiretoko.or.jp/wp/wp-content/uploads/2013/10/140b53c6a5807a159aa0a3769c727d25.jpg)
顕微鏡でのぞいた時の様子(4本のラインが読めたため4才と判定)
今回の作業では、約60頭分のヒグマの歯を処理してサンプルを作成しました。顕微鏡による観察はこれからです。
調査結果は知床におけるヒグマの管理・対策に活用されます。これまでに知床で確認されているヒグマの最高齢は34歳、今回の調査でどのような新しい発見があるのか、今から結果が楽しみです。
土屋