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クジラ回収作戦

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実施日: 2009年6月26日
海に向かって高く腕を伸ばした大型クレーンが機械音とともにウインチを巻き上げると、オホーツクを泳いでいたであろうクジラは静かに岩礁を離れ、宙に浮かびました。
空飛ぶクジラ -ジャンボジェットがそのように比喩されるのも納得してしまいます。


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6月22日に死亡した状態で発見されたこのクジラは潮の満ち引きとともに漂流し、結局国道近くの岩礁に打ちあがりました。ここが人里離れた場所なら「海からの恵み」として多くの哺乳類や鳥類にその栄養が還元されるはずですが、どうにも場所がよくありません。観光地の駐車場の真ん前に座礁してしまったのです。クジラの腐臭はすごいものですし、クマが気付けば何日も居座り食べ続け、道路の通行さえ危ぶまれます。そうなる前に回収しなければなりません。
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問題は、その大きさです。このクジラは体長は6m、体重は3.5tありました。知床の大きなオスグマでも400kg程度ですから、このクジラはその8倍を超えます。「道路からウインチで引っ張る」「いや、むしろ船で曳航したら」など、いろいろ案が出ましたが、大型クレーンで吊り上げることになりました。ロープをどのようにクジラに固定するかも難問です。ロープが外れたり、バランスが崩れたりして3.5tのナマモノが空中で崩壊しては大惨事です。頭と尾の両側に輪にしたロープを通し、2点で持ち上げる作戦となりました。
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ロープを何とかクジラに回し、クレーンにつなげ、吊り上げます。クジラが震動し、小さく跳ねた後、静かに宙に浮きました。バランスが崩れないか、ロープが食い込みクジラを切断してしまわないか、緊張しながら見守ります。空を飛んだクジラは、5分後には横付けされた大型ダンプカーに狭苦しそうに収まり、無事回収が成功しました。
海の生き物の大きさと人力のか弱さ、内燃機関の偉大さを思い知った一日でした。
担当:秋葉

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