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解説1:知床におけるヒグマの目撃状況

長さ約70 km、幅約20 kmの知床半島(斜里町+羅臼町)における2009~2013年のヒグマ目撃件数は、年間756件~2,150件の範囲でした(図1)。2012年だけ突出して多くなっていますが、他の年は平均して900件弱です(たとえば2013年:斜里町745件+羅臼町104件の計849件)。ただし、これは報告があった分だけの数字です。

 

知床では、ヒグマの活動期(3月下旬~12下旬)には毎日3回以上、ヒグマと人とがどこかで出会っている計算になります。このような濃密な「ヒグマのすみか」である知床を、年間120万人以上の観光客が、十分な予備知識を持たないまま訪れているのです。

 

知床では、車を降りてすぐそこで、ヒグマと出会う可能性があります。そのことを常に念頭において、慎重に行動していただきたいと思います。

 

図1. 知床半島における近年の年間ヒグマ目撃件数

 

 

私たち知床財団は、ヒグマ目撃情報が寄せられると、目撃地点に急行します。現場到着時にまだそのヒグマがいた場合、周辺の安全確認をしつつ、先ずは可能な範囲で動画等を撮り、個体識別のための画像データを収集しています。現場などに残されていた糞や体毛、皮膚片等から抽出したDNAの分析による個体識別情報も活用しています。

 

その結果、様々な個体が目撃されている一方で、一部の特定個体が、真っ昼間に、道路脇や住宅裏などの人間の生活圏で、何度も繰り返し目撃されるケースが多いこともわかりました。そのような特定個体が目撃件数全体を押し上げている側面があるのです。このような特定個体は、人間を見てもすぐに逃げようとはしません。これはその個体がそれまでの経験から、「人間はこわくない」という学習をしてしまった結果だと私たちは考えています。

 

詳しくは解説2で説明しますが、私たちはこのような個体の「過度の人馴れ」とその後の深刻な状況への発展を未然に防ぐことを目的に、非致死的な追い払いを実施しています。しかし、大部分の人間は彼らにとっては「無害」なため(写真1)、ヒグマが私たち(追い払いをする人々)だけを避ける状況に陥るケースが多くなっています。

 

写真1. 河原に出てきたヒグマ(黄色円内)を近くから撮影するアマチュアカメラマンの人々

 

このような状況の繰り返しが、「人間はこわくない、逃げなくてもよい」という学習をヒグマの頭の中で強化することにつながっていると考えられる。

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