知床Express

SNSとクマ対策

SNSとクマ対策

 ここ数年はtwitterやInstagramなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が急速に普及し、「◯◯でクマを見た!」といったリアルタイムな投稿によって、クマを見たい人がその場に集まるといったケースが珍しくなくなってきました。投稿がバズる(話題となる)ことで現場に人が集中し、車渋滞や人身事故などが起こる可能性を高めてしまっています。また間違った事実、情報が拡散してしまうという危険もはらんでいます。さらに、クマ出没の投稿だけがひとり歩きし、『運転中に出会っても車から降りない、近づき過ぎない、エサをあげない』などのルールやマナーが置き去りにされていることも現状です。

 このような環境の変化を受けて、私たちは2018年にヒグマの生態やマナー、ルールの普及に特化した「知床のひぐま」というホームページを立ち上げました。さらにここ数年は、twitterやInstagramなどのSNSによる情報発信にも力を入れています。

 クマ対策チームが主に利用しているSNSはtwitterです。twitterの強味は「拡散力」です。投稿をフォロワーがリツイートすることにより、さらに多くの方の目にふれることになります。前述のようなSNSのデメリットや危険性をきちんと理解した上で、そのメリットを活かしたクマ対策活動についてご紹介します。

 

SNS

@bear_shiretoko

@bear_safety_shiretoko

@BearSafetyShiretoko

 

ホームページ

https://brownbear.shiretoko.or.jp/

最新の出没状況や対処法、生態などをご紹介しています。

 

何を発信するべきか

 情報発信の最たる目的は公園利用者や住民の安全を確保することです。発信する内容は大きく2つに分けられます。まず一つは人身事故につながりかねない危険・緊急情報を迅速、かつ正確に発信することです。分かりやすい例を挙げると、緊急地震速報のようなものです。二つ目がルールやマナーといった普及啓発の発信です。

 

 

 

 この他にも2020年は特に不法投棄ゴミの回収に追われました。ゴミ投棄は餌付けにつながる行為でもあります。クマ渋滞、エサやりは毎年知床で起こっている問題であり、私たちが立ち向かわなければいけない課題です。

 

SNSの有用性

 SNSが普及する以前は、啓発チラシを施設や地域各所に掲示したり、ホームページのブログに投稿するだけに留まっていました。しかしここ数年で急速に普及したSNSをうまく活用することで、SNSユーザーを始点に、より多くの方に向けて知床で今起こっていること、私たちの思いや考えを直に届けることができるようになりました。

 クマ対策チームのtwitterとInstagramはそれぞれ2019年4月に開設されました。twitterのフォロワー数は、2019年10月で約2700、現在では約5300に伸びました。また、Instagramについては2019年10月で約760、現在では約1050のフォロワー数になりました。

 また、投稿に対するコメントから世の中の人がヒグマに対してどのような意識を持っているのか、どのように世論を醸成していくべきなのかを掴むきっかけにもなります。

 

(2021年7月22日現在)

 

知ることで防げることがある

 クマ対策には人身事故を防ぐための現地での対応、農業被害を防ぐための電気柵の設置など幅広くありますが、その一つに「ヒグマの正しい知識を普及すること」も重要な対策活動の一つとして位置付けられています。

 人とヒグマの軋轢をなくすためにはまずは私たち人間がヒグマのことを正しく理解し、「近づかない」「餌付けしない」「ゴミを捨てない」といった基本的なマナーやルールを遵守することです。クマ対策とはつまるところヒト対策であり、普及啓発により人の意識や行動を正しく導くことが軋轢軽減に繋がります。

 これまで知床では観光客とヒグマの人身事故は起こっていません。しかしSNSでの発信に力を入れている今も、人慣れしたヒグマが観光客の車に近づき手をかけたり、逆に人の方が路上に出没したヒグマを撮ろうと車から降りて近づくなど、いつ事故が起こってもおかしくない事例が減ることなく散見されています。これまで以上に人身事故を未然に防ぐための情報を正確かつ迅速に届けること、そしてルールやマナーの普及が求められます。

 知ることで、そして知らせることで防げることがあるという思いを胸に、これからもSNSツールを使った情報発信に力を入れていきたいと思います。

 

文 ー 田中優子 普及企画係