今年のクマ事情②
一層縮まる人とクマの距離
前編で今年の出没傾向やクマの様子がいつもと違ったこと、夏場の餌事情が厳しかったことがその原因の一つだった可能性を紹介した。例年に比べて突出して多い目撃数は、今年の特別な状況に起因していると考えられるが、一方で今年に限らず、目撃数自体が年々増加傾向にあることは確かで、その背景に人を気にしないクマの存在がある。全てのクマが人を気にしなくなったわけではないが、確実に増加している。
人側のクマに対する反応が変わりつつある。人もクマを恐れなくなった気がする。特に国立公園内では、道路際にクマがいると、たちまち車の渋滞が発生し、車外に出てカメラを構える人々にクマは囲まれる。知床財団では過度の人慣れを防ぐために追い払いを行っているが、それはクマにとって人との出会いのほんの一部でしかなく、追い払いによる学習付けには限界がある。