ヒグマと人が、安心して暮らせる知床を目指して
01 知床キムンカムイ・プロジェクトとは?
知床にヒグマは何頭いるの? ヒグマは知床半島内外を行き来しているの? これまで約70頭のヒグマの行動を追跡してきた私たちですが、地上からのアプローチには限界があり、現在も知床のヒグマの生態についてこのような疑問を持っています。平成18年4月、それらの疑問を解き明かすため「知床キムンカムイ・プロジェクト」として、衛星技術を用いヒグマの位置を把握する「GPSテレメトリー調査」、遺伝情報から個体の分散を調べる「DNA分析」を本格的にスタートしました。この調査から得られた成果は、「ヒグマとの共生」についての理解を広めるために役立てていくことになります。
02 調査でわかってきたこと
下の図は、GPSテレメトリー調査によって刻々と変化するヒグマの位置を測定したものです。図の中に(●)で示したメスは、知床五湖付近で主に生活しており、これまで頻繁に目撃されていました。一方、(○)で示したメスは、道路近くにはあまり近づかず、人前にはほとんど姿を現しません。また彼女たちは、8月頃から羅臼岳などの高標高地を利用するようになりました。ヒグマたちもそれぞれ個性があり、そして、季節や年によっても生活の仕方を変えるようです。
図 ヒグマ2頭(♀)の6月から9月までの移動位置
03 これまでの捕獲状況
GPS(全地球測位システム)首輪をヒグマに装着するために設置した生け捕り用のワナは6ヶ所。これまでに5頭のヒグマを捕獲しました(2006/11/18現在)。
GPS首輪を装着したメス成獣(7/1捕獲)
- 2006/05/04 メス成獣 (83.5kg)
- 人への警戒心が強く、作業するために檻へ近づくと激しい体当たり。今年1回目の捕獲作業、いつも以上に緊張感が走る。
- 2006/07/01 メス成獣 (101.5kg)
- 1995年以降、捕獲経験5回目となるツワモノ。去年は1歳の子を連れて姿を現していたが、今年は独り者。
- 2006/09/15 オス (74kg)
- 知床五湖近くに設置した檻で捕獲。300kg近いクマへと成長していくのだろう。
- 2006/10/18 メス成獣 (99kg)
- 知床自然センターから最も遠く、原生の森の中に設置された檻で捕獲。低く唸る声が森に響いていた。
- 2006/10/24 メス成獣 (107kg)
- 過去にも1度捕獲経験を持つ。冬眠に向けてたっぷり栄養を蓄え丸々とした姿を久しぶりに見せてくれた。
『知床キムンカムイ・プロジェクト』は、このプロジェクトの趣旨に賛同するAIR DO(北海道国際航空)からの支援を受けて実施されています。
>> AIR DOからの支援について