森づくり日誌 >> 森づくり作業の紹介

●苗木の床替え(とこがえ)

tokogae.jpg苗木の床替え(とこがえ)

苗畑で育てている苗木の根をある程度の深さで切って、苗畑の別の苗床へ植え替える作業のことです。

種から芽生えた木の根は、ふつう根元近くでは細かく分かれないで、太い根を深く張っていきます。床替えされた苗木の根は、いちど切られたことにより、根元近くで細かく分かれます。このように根元近くに細い根が多くなった苗木は、移植しても根付きやすくなります。

床替えされた苗木は、半年~2年ほど苗畑で育
てられたあと、100平方メートル運動地の荒野へ
移植されていきます。

●モニタリング調査

monitoring.jpgモニタリング調査

森づくり作業の結果を評価するために、毎年様々な調査を行っています。例えば、防鹿柵の効果を調べるために、柵の内外で自然に生えてくる木の種類や数を記録しています。

調査を行うことで、常に森づくりの方向性を確認し、知床の森づくり作業を進めています。

 

●カエル池

kaeru-ike.jpgカエル池

シマフクロウなどの生き物のエサを増やすことを目的にエゾアカガエルなどが産卵するための池をつくりました。

その後毎年、その池では、エゾアカガエルやアマガエル、そしてエゾサンショウウオの産卵や成育が確認されています。

 

●開拓小屋(かいたくごや)

kaitakugoya.jpg開拓小屋(かいたくごや)

開拓小屋は、開拓当時の馬小屋を建て直した建物です。現在は、森づくり作業の拠点としてだけではなく、知床自然教室や森づくりワークキャンプの憩(いこ)いの場として利用されています。

また、この開拓小屋は、開拓当時の面影(おもかげ)を残す歴史的にも貴重な建物となっています。

 

●防風柵(ぼうふうさく)

bouhuusaku-kouka.jpg防風柵(ぼうふうさく)

強い風が吹き付ける場所では、なかなか木は大きくなることができません。そのため、風が強く苗が育ちにくい場所には防風柵を建てています。

冬、防風柵の前後には雪の吹きだまりができます。この吹きだまりが雪の「布団(ふとん)」となって、厳しい風雪から苗を守ってくれます。


●植樹(しょくじゅ)

syokuju.jpg植樹(しょくじゅ)

毎年、春と秋に、苗畑で育てた苗を運動地の各地に植樹しています。植樹作業は、いつもたくさんの人の手を借りて行われています。

ただし、植樹ができる場所はエゾシカの入らない防鹿柵の中だけです。現在の課題は、植樹ができる防鹿柵の面積が残りわずかになってきていることです。

 

●防鹿柵(ぼうろくさく)

bourokusaku.jpg防鹿柵(ぼうろくさく)

いま運動地で広葉樹の苗を育てたり植えることができるのは、フェンスで囲われた防鹿柵の中だけです。柵のない場所に苗を植えてもエゾシカに食べられてしまうからです。

現在、運動地には16カ所の防鹿柵があり、苗畑や植樹地、そして元々ある自然の森をエゾシカから守る重要な役割を果たしています。

 

●森の番人(もりのばんにん)

bannninn.jpg森の番人:橋本 勝(はしもと まさる)

100平方メートル運動の森づくりの現場を監督し、技術の指導を行うのが「森の番人」です。苗や木々の手入れ、防鹿柵の設置など、幅広い作業をこなします。

橋本さんは、地元斜里町出身。造園業を営むかたわら、本格的な森づくりが始まった1997年から「森の番人」として知床の森づくりに携わっています。植物のみならず昆虫や動物の生態など自然にかかわる知識は豊富。知床財団
嘱託職員。

●カラマツの役割

karamatu.jpgカラマツの役割

現在では北海道のいたるところで植えられているカラマツですが、もともと北海道になかった種類の樹木です。

原生の森の復元を目指すこの森づくり作業では、もともとなかったこのカラマツを将来的には減少させていく方針です。ただし、現状では他の多くの広葉樹がシカの食圧によって衰退してきているため、シカの影響を受けにくいカラマツは防風林としての機能など森づくりの現場において重要な役割を担っています。そのため当面は、必要な部分以外は大きく手をつけずに、森づくりのひとつの機能として活用していくことにしています。 
 
 
 

●山採り養生木(やまとりようじょうぼく)

youjyouboku1.jpg山採り養生木の移植

苗畑の中では、人の背丈より高い3~5メートルほどの大きさの樹木の育成も行っています。これらの大きな木は、種から育てたものではなく、作業道を整備する際などにどうしてもその場所から動かさなければならなかった木々を一時的に苗畑に移して休ませているものです。これらの移植した木々を「養生木」と呼んでいます。youjyouboku2.jpg

そして数年間を苗畑で過ごした養生木は、シカに幹の皮を食べられらないように保護ネットを巻き付けることで防鹿柵のない場所にでも植えることができます(背の低い木にネットを巻いても効果がありません。上から食べられてしまいます)。

これらの養生木を移植する目的はふたつあります。ひとつは防風林をつくることを目的としています。風が強く吹き抜ける場所に背の高い木を列にして植えることで発揮される防風効果が、
周りの小さな木々の生長を助けてくれることを
期待しています。もうひとつは森林の多様性を
復元するために養生木(広葉樹)をアカエゾマツ
などの針葉樹の植林地に植え込んでいます。

●苗畑(なえはた)

naehata.jpg苗畑(なえはた)

100平方メートル運動地の中にあるふたつの苗畑で広葉樹の苗木を育てています。運動地やその周辺で採取した種をまき、日々の水やりや草取り、そして移植に耐えられるようにするための根づくりなどを行いながら大切に育てています。これらの苗木たちは、生まれてからの数年間を、知床の大地に植え付けられる時が来るまでこの苗畑の中で過ごします。naehata2.jpg

苗畑で育てられたオヒョウ・ハルニレ・キハダ・ミズナラなど約20種類の広葉樹の苗木は、運動地各地のシカを防ぐ柵(防鹿柵)の中に植え付けられます。これまでの森づくり作業の10年間で植えられた広葉樹の苗木はおよそ1万本になりました。

苗畑の維持管理や植樹作業は、たくさんの皆さんのご協力をいただいて行われています。手にとったその一本一本が、100年、200年先に広がる未来の森の第一歩となっていきます。

●樹皮保護ネット巻き

樹皮保護2.jpg樹皮保護1.jpg樹皮保護ネット巻き

冬、木の樹皮はエゾシカにとって貴重な食料となります。しかし、木の幹の回りを一周むかれてしまうとその木がやがて枯れていきます。

森づくり作業では、シカの樹皮剥ぎを防ぐために金網や樹皮保護ネット(ポリエチレン製)などをシカが好んで食べる樹種を中心に巻いています。