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知床フィールド講座「光る森」~新緑の森で30種類の木を覚える~

実施日:2007年6月9日(土) 070609mori.jpg 6月、知床の森は、1日の雨、1回の晴天に敏感に反応し、長い冬の間に蓄えたエネルギーを爆発させるかのように、日に日に、新しい緑をまとっていきます。 知床に暮らしている私たちにとってさえ、毎日輝きを増す新緑に驚き、その美しさに目を奪われる季節です。 そんな「光る森」に体を浸していただくと共に、その緑を作り出す木々それぞれの個性を、名前を、生きるための戦略を知り、森について楽しく学んでもらう1日です。 今回講師を務めた当財団スタッフの熊本は、100平方メートル運動の森・トラストの運動地で、日々森作りに取り組む森林再生員。森への愛にあふれた視線で300年後の森を見据えつつ、植物の生態から、木と人の関わりと歴史まで、分かりやすく解き明かします。 まずはフィールド講座恒例の、室内レクチャーを40分ほど実施。 「まず、自分の思い描く「木」の絵を描いてみましょう」 講師の指示に戸惑いながら、皆さんペンを走らせます。え~と、ミズナラのつもりで・・・葉はたしか、こう。いや枝ぶりは・・・。はて、どうだっただろう? 今すぐ森に出て、確かめたい気持ちが盛り上がります。 木々を見分けるポイントの解説の後、資料を手に、いざ森へ! 午前中は、100平方メートル運動の森・トラストの運動地を中心に、開拓などによって開けた土地に、まず入ってくる先駆者的な木々たち出会います。ダケカンバと、シラカンバの違い、生物としての違いのみならず、アイヌ以来、人の暮らしの中での用いられ方の違いにも話が及びます。ケヤマハンノキの毛深い(?)葉にさわり、知床にある3種のサクラの蜜栓の違いを確認し、それぞれの種の飛ばし方の戦略に感心し・・・話が弾んでなかなか前に進みません?! 参加者の方からも活発な質問が飛び、講師はそれらを、全て的確に打ち返していきます。基本的な質問にも、かなりマニアックな知識にも、見事に合わせるその様子は、森の安打製造機、知床のイチローといったところ?! 川沿いの台地上にて昼食。植林された2次林でありながら良好な状態で、森が自然状態に遷移していく雰囲気が見られるます。エゾマツやトドマツなどの針葉樹がまず育ち、風を防ぎ、やがて、広葉樹が入っていき森が成熟していく、本来の知床の森である針広混交林(針葉樹と広葉樹が混じり合っている森)の成り立ちを実感できる森です。 森は育っているのだな、と少しほっとしていると。「この森の寂しさに気づきませんか」講師に促されて気づいたが、特に道の無い林内を歩いているのに、そういえば歩きやすい。本来であれば、高く育った老木たちが風で折られた時に、次に日光を受けて幹を伸ばすべく、地道に林床で待機する次世代の木々が、無い・・・。そう、シカが食てしまうのです。シカが樹皮を食べた跡や食害防止のネットが巻かれた木などは、もはや見慣れた存在になりつつある知床ですが、この次世代の喪失という現実には愕然とします。こりゃ日本の少子化どころじゃないかもしれないですぞ・・・。 午後には、場所を変えて、開拓や植林の歴史の無い天然林を訪れるます。またいくつかの新しい木々と出会うと共に、午前中に見た同じ樹種の300年後の姿にも出会いました。 その場所で、「もう一度木の絵を描いてみましょう」と講師。枝ぶりが大きく広がった絵、葉の形が詳細になった絵、木の生長の概念が一変した絵などを手に、今日の感想を語り合って、1日の講座は終了となりました。 当日はすばらしい好天。つい10日前はフリースを手放せなかったのが信じられない、真夏のような日差しでした。「これは暑いな・・・」 のどの渇きを覚悟ていましたが、杞憂でした。木々が日差しを吸収し、風を和らげ、程よい木漏れ日の元、快適な森歩きでありました。やはり森はすばらしい。  30種類はとても覚えられなかったけれど、木を知り、森を見た、一日でした。
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