キムンカムイ・プロジェクト

「キムンカムイ・プロジェクト」とは?

キムンカムイとはアイヌ語で「山の神」という意味。アイヌの人たちはヒグマを山の神として崇めていました。ヒグマが高密度に暮らす知床は、年間約200万人が訪れる観光地であり、また漁業や農業を営む人たちの生活の場でもあります。ヒグマの生態を明らかにしていくことはヒグマの保護管理計画を考えていくうえで、そしてヒグマとの共存についての理解を広めるうえで大変重要な指標となります。また、ヒグマとうまく付き合っていくためには人間がヒグマのことをもっと知る必要があります。

kinmu1私たちはヒグマと人が安心して暮らせる知床を目指し、2006年から3年間、株式会社AIRDO様のご支援をいただきながら「キムンカムイ・プロジェクト」と題して1)ヒグマの生態調査と2)ヒグマに関する普及啓発活動を実施しました。

 

1)ヒグマの生態調査

kinmu3kinmu2知床のヒグマはどのように暮らしているのか?増えているのか、減っているのか? これまで約70頭のヒグマの行動を追跡してきた私たちですが、地上からのアプローチには限界があり、ヒグマの生態についてまだわからないことがたくさんあります。このプロジェクトでは衛星技術を用いヒグマの位置を把握する「GPS テレメトリー調査」、遺伝情報から個体の分散を調べる「DNA分析」を本格的にスタートさせました。

seika

調査結果の一部をご紹介します。下の図は、GPSテレメトリー調査によって刻々と変化するヒグマの位置を測定したものです。図の中に(●)で示したメスは、知床五湖付近で主に生活しており、これまで頻繁に目撃されていました。一方、(○)で示したメスは、道路近くにはあまり近づかず、人前にはほとんど姿を現しません。また彼女たちは、8月頃から羅臼岳などの高標高地を利用するようになりました。ヒグマたちもそれぞれ個性があり、そして、季節や年によっても生活の仕方を変えるようです。

project_map

詳しくはこちら→行動追跡調査結果報告(PDF)iconset

 

 

2)ヒグマに関する普及啓発活動

私たちが長年時行ってきた調査から得られた科学的なデータや保護管理活動の経験をもとにヒグマの生態やヒグマ問題の現状を伝え、彼らとの共存を広く社会に提案することを目的に、貸出教材の作成、教育用絵本(しれとこのきょうだいひぐま ヌプとカナのおはなし)の作成、ヒグマやヒグマの暮らす自然について学ぶプログラム(知床ヒグマの森交流プログラム)を実施しました。

seika

学校での授業や、グループ学習での利用を想定し、全国に無料で(送料は実費)貸し出すことが可能なヒグマ学習教材トランクキットを作成しました。ヒグマの毛皮や頭骨、研究者が実際に使用しているものと同じ調査道具など、ヒグマを知るための全22点が一つになった教材セットです。

詳しくはコチラ
貸し出し実績はコチラ(PDF)iconset

 

kinmu4ストーリーや構成を絵本作家あかしのぶこさんと一緒に検討し、全23枚の絵本原画を完成させました。物語は、知床で暮らしていた兄弟ヒグマが、ある出来事をきっかけに全く違う運命をたどるというもの。この絵本は知床財団の独自予算にて印刷製本を行い、2008年10月に出版、道内の公立図書館、道東の自然系施設、斜里・羅臼両町の小中学校や児童館など計244箇所に寄贈しました。知床財団のネットショップ、コムヌプリiconsetでご購入いただけます。

 

詳しくはコチラ→普及啓発活動報告(PDF)iconset

知床財団の活動