出会わないために~ヒグマ対処法

STEP1近い距離でばったり出会うのを防ぐ!

人がいることをクマに知らせよう

人とクマが互いに気付かないまま近い距離でばったり出会った場合、クマは驚いて自分の身(または子グマ)を守るために攻撃する場合があります。
一般的にヒグマは人の存在に気づくと、人を避ける事のほうが多いので、距離的に余裕があるうちに、音や声を出して人の存在を知らせましょう。

ベル ラジオ

「音を鳴らすだけでなく…」

鈴・ラジオは人の存在を知らせる有効なアイテムですが、周辺の音を聞き取りにくくするものでもあります。音を鳴らすのと同じくらい、周辺の音や気配を感じ取れるよう気を付けてください。

互いに気付きづらい状況では常に周囲に気を配る

以下の状況では、常に周囲に気を配り、普段以上に音を鳴らす! 場合によっては活動中止を判断する。

  • 見通しの悪い林内、ササ地などの草藪:人もクマもお互いを視認しづらい。
  • 霧や日暮れの時間帯、夜間や早朝:人もクマもお互いを視認しづらい。
  • 沢沿い・風の強い日:川や風の音で人もクマも互いの存在に気付きづらい。
  • 雨の日:音が通りにくく、お互いを視認しづらい。クマの臭覚も鈍る。

STEP2ヒグマが頻繁に利用する場所を避ける!

知床では、ヒグマが何処にいても不思議ではありませんが、彼らは季節によって食べる物を変え、それに伴い利用する場所も変化します。季節毎のヒグマの利用地域を知ることは、遭遇を避ける重要な情報となります。

春~初夏(セリ科など草本・ミズバショウ・シカ新生児)

3月:早い個体は冬眠から目覚めます。この時期、彼らは海岸に近い斜面や標高の低い沢沿いなど、雪解けが早く、フキやセリの仲間の草が真っ先に生える場所をよく利用します。またこの時期、冬を越せずに自然死するシカが多く、その死体を探して食べます。このため、シカがよくいる場所はヒグマがいる可能性は高いので注意が必要です。

鹿と熊

「シカの死体には絶対に近づかない!」

ヒグマはシカの死体など一度に食べきれない大きな餌を手に入れると、土や木の枝葉などの周りにある物をかぶせて隠し(土饅頭)、しばらくその場に居座ります。土饅頭に近づくと、餌を守るためにクマが攻撃してくることがあります。シカの死体の近くにはクマが潜んでいる可能性があるので、絶対に近づかないようにしましょう。

5~7月:ミズバショウを食べに水辺近くのミズバショウ群生地を利用。

6~7月:生まれたばかりのシカを食べに、開けたササ地や草地など、シカが出産する場所に出没します。ワラビ採りの方は注意してください。

ミズバショウ

「山菜採りの方へ」

雪解け後、早くに芽吹く草本類は、ヒグマの大好きな餌のひとつです。 山菜採りに適した場所は、ヒグマもよく利用します。はち合わせしないように、周囲に注意しながら、鈴などを持って歩きましょう。また、なるべく一人で入らないようにしましょう。

夏(アリの巣・高山植物の実)

8月:アリを食べに開けた草原、道路脇、登山道沿いのアリの巣が密集している場所に出没します。

8~9月:高山植物の実(ハイマツ、ガンコウラン、コケモモ、オオバスノキ、クロウスゴなど)を食べるため、標高の高い地域にもヒグマが現れます。登山道沿いにこれらの実がなっている場所は注意しましょう。

高山植物の実 栗

「知床連山登山道のアリの巣地帯」

羅臼岳登山道(標高640m)と硫黄山登山道(標高400m)の岩峰付近には大量のアリの巣が発生します。クマの目撃も多い区間で、狭い登山道でクマとはち合わせする危険性があるため、注意が必要です。

秋(サケマス・ミズナラ・ヤマブドウ)

8月末~11月:川にサケマスが遡上してくるので、それをねらって河口付近や下流域によく現れます。魚を追うことに集中するクマは、周囲に気が向けられません。

9月~11月:森林にあるミズナラ、ヤマブドウ、サルナシなどを好んで食べます。これらの実が多数なっている場所は注意しましょう。

サケ

STEP3ヒグマを引き寄せない!

ヒグマが人の食べ物の味を覚えて餌付いてしまうと、再びその食べ物を手に入れようと人や人間の活動するエリアに何度も近づくようになります。このような場合、クマによっては徐々に人への警戒心が薄れて、人がいても逃げずに、人身事故を起こす可能性が高くなるため、大変危険です。

ゴミを捨てたり、食べ物を野外に放置しない

熊 熊

遊歩道やキャンプ場、建物の近くなどで食べ物を捨てたり放置しておくと、ヒグマを引き寄せ、自分だけでなく、周囲の人や後からそこに来る人にまで危険にさらすことになります。
※食べ物やゴミだけでなく、釣った魚やその内臓を放置したり、魚を干したりする事も、クマを引き寄せる要因となります。

調理や食事は・・・

テント内で調理や食事をするのはやめましょう。匂いが残ったテントはクマを引き寄せることになります。調理や食事はテントから離れた所(できれば100m以上離す)で行なうのが理想的です。

調理

食料の保管は・・・

テントの中で食料を保管するのは絶対にやめましょう。食料の保管場所はテントや調理・食事をした場所から100m以上離しましょう。 食料や生ゴミのほか、食べ物の匂いのついた調理器具、食器などは、ビニール袋で密閉し、木に吊るすか、フードコンテナ(携帯用クマ対策コンテナ)の中に保管しましょう。

フードコンテナのレンタルについて
フードコンテナ

知床連山縦走路のキャンプ指定地(羅臼平、三ッ峰、二ッ池、第一火口)には、フードロッカー(クマ対策食料保管庫)が設置されているので、食料などをビニールで密閉し、保管庫の中に入れましょう。他の人が利用できるように、なるべく小さくまとめましょう。また、立ち去るときは、ゴミなどを放置しないで下さい。

フードロッカー

「国立公園でキャンプをする方へ」

知床国立公園でのキャンプは指定された場所にてお願いします。

STEP4やり過ごそうとするクマを刺激しない!

ヒグマの気配のする方に近づかない

山道などを歩いているとき、周りの茂みの中で大きな動物が動く気配がして、その後静かになったら、ヒグマが隠れてあなたをやり過ごそうとしているかもしれません。このような場合、音がしたほうに近づくのはやめましょう。 音が静まった地点から50m以上の場合は、手をたたいたり、穏やかに声をかけながら、すみやかに通り過ぎましょう。また、距離が50m以内のときは、引き返したほうが賢明です。

犬を連れて行かない

人より嗅覚の鋭い犬は、クマに気付いて、吠えかかってしまう場合があります。近くで人をやり過ごそうとしているクマを怒らせてしまうかもしれません。クマに対する訓練を受けていない犬をヒグマの生息地に連れて行くのは危険な場合があります。

自転車に乗る方へ

知床国立公園内では、昼間でもヒグマが道路上を歩いていることは珍しいことではありません。自転車で移動中、見通しの悪いカーブなどで、不意にクマに遭遇した場合、スピードを出していたら直ぐには止まれず、クマが躊躇している間に急接近してしまう可能性があります。 ヒグマに出会ったら、すぐに自転車を止め、ゆっくりと自転車を押して歩きながらクマから離れましょう。

ジョギングはしないほうが無難

ジョギングも、自転車と同様な状況を発生させる可能性があります。特にヒグマの出没する頻度が高い知床国立公園内では、ジョギングするのは控えたほうが無難です。

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